誰かの経験と勘だけに頼らない

お世話になった事のある会社に、
「これ、○○さんの経験と勘に頼った率は?何パーセント?」
と口癖のように言っている責任者の方がいました。

そのパーセンテージが高ければ高いほど、
「まだまだだなぁ~。次は○○さんからもっと手放せる状態にしよう。」
等と言っています。

スタッフの方にお話を聞くと、何かひと仕事終えるとよく言っているとのこと。
業務が属人化している状況を無くしていきたいと、改善をしている過程なんだそうです。

業務の属人化とは何でしょう。

それは、業務の詳細が特定の人しかわからない状態になってしまうこと。
「業務のブラックボックス化」等という言い方をされる状態ですね。

冒頭の責任者の方は、この「業務の属人化状態」に問題意識を強く持ち、変えたいという意思表示を頻繁にしていたわけです。

とある一人のスタッフさんに仕事が集中しがちで、その方が忙しくなり過ぎているために業務の標準化、マニュアル化も進まずに
「自分がやった方が早い…。」
の繰り返し。

「これ、○○さんが途中で体調崩しちゃったりしたらどうするの?
いなかったら同じように出来ない、じゃまずいんだよ。

体調悪くて辛いときにバンバン電話鳴るのも嫌でしょ?
もっと、何かあった時のバックアップ体制というものにも目を向けてほしい。」

というような会話も聞こえてきてましたね。

筆者も、もっと若かりし頃に同じようなことを上司に言われたことがあったような…。
そんな時に心の中で思っていたこと。

「そんなこと言われたって…。
誰かに教える時間無いしマニュアル作る時間なんてもっと無いし。
そもそも、頭数的に誰と共有すればいいの?

所謂「大企業」と言われるような会社に勤めていたわけではなかったのもあり、人材の層はそんなに厚いとは言えない環境にいた私。

最初から人手がギリギリなんだよ~。
なんて思っていました。
結構そういう環境で働いている方って多いと思うんですが、どうでしょうか。

ここぞというときは、相当の高熱で起き上がれない、とかで無ければ這うように出社して乗り切っていました。
そして大事な日を乗り切り、今日ならまだ何とかなる…みたいな日を選んで休みをいただく…。

時代は移り変わり、令和になって、誰もが予想していなかったコロナ禍という状況。
そんな中、件の「業務標準化」を頑張っていた会社さんにも危機が訪れます。

毎月発生する、重要なある業務をほぼお1人の担当者さんが行っていたのですが、その方がコロナ感染、そして発症してしまいました。

そのお話を聞いて
「本当に、今までよくまわして来れましたね…。
と私は思いました。

ここぞというタイミングではたまたま体調を崩さなかったのと、多少の体調不良ではお休みされてこなかったのでしょう。

しかし、新型コロナウィルスの症状を抱えて出社するわけにはいきません。
このタイミングで、コツコツと作成を続けてきたという業務マニュアルが役に立ちました。

さらに、その方がお休みすることになる2か月ほど前に、アシスタントのアルバイトさんが入社してもいました。

マニュアルを元に、2まわしほどそのスタッフさんと一緒にアシスタントさんに業務を経験させていたことで、そのピンチは乗り切れました。

業務マニュアルは、システムへのログインの仕方等のとっても細かいことまで、画面キャプチャー付きで作成されていて、初めてそのマニュアルを見る方でも操作が出来る状態まで作りこんであるそう。

業務の意味が分かっていないと、誰でも途中で躓かずに完遂できるとまでは言い切れないものの、その会社のスタッフであればなんとかマニュアルを見ながらであれば、やり切れるとのことでした。

誰もがいつまとまった期間お休みすることになるか分からない状況となった今、「分かってはいたけど対策をしてこなかった業務の属人化問題」が露呈した職場はたくさんあるのではないでしょうか。

逆に、意外と
「いざという時には周りの助けでなんとかなるんだ!」
ということに気づけた方もいるかもしれません。

自分がいなければ…!という強い責任感は時にワーママを追い込んでしまいますので、いい意味で
「なんとかなる!」
と割り切れるのは良いことですよね。

そして、
・業務は属人化させず、出来る限りマニュアル化をして数名で共有すること。
・業務を共有する短時間のアルバイトスタッフがいるだけでも忙しい正社員の助けになる。(→こういうところに子育てママの働く場所があるかも??)
・体調不良のときには無理をせず休むのが当たり前だと皆が認識すること。
このようなことに気づいたり、それを重視する職場が増えることは、子育て中のママが働きやすい職場が増えることにもなると思いませんか?

自分が数日抜けてもバックアップ体制がある。
誰かが抜けた穴を自分がフォローすることもできる。
それによって「お互い様」の空気感が自然と出来てくる。

そんな職場が増えるといいですよね。

筆者は…冒頭の会社さんのお話がとても心に沁みまして。
空き時間が出来ると、今している担当業務のマニュアル整備をしています。

フルタイム勤務でなく限られた時間の中でなので、5分10分の細切れ時間の中でですが。
マニュアル化されていない業務はマニュアルを作成し、古くなっているマニュアルは内容を更新しています。

マニュアル作成は自分の頭の中の整理も出来て、業務理解も深まりますね。
職場のナレッジ(知識、知見、ノウハウ等)蓄積に一役買えるのでコツコツやっていきたいです!

ママが働きやすい未来をつくる一助にもなるって思っています。

ちなみに、時間が限られている勤務形態だからこそ、うまく時間をやりくりして時間内にマニュアル整備の時間もなんとか捻出出来ている気がしています。
子どもがいると、一定の時間に絶対に帰らなければいけませんから!

その気合のおかげ?でしょうか。

忙しいよー、人も足りてないんだよー、全部自分がやっちゃった方が早いんだよーとばかり言っていた過去の自分、必要なのは頭を冷やして整理する時間だったのかもしれないよ。