世のため人のため

最近になってやっと、録画していた2021年の大河ドラマ『青天を衝け』を観始めました。
物語の主人公は「近代日本経済の父」と称される渋沢栄一氏。
3年後には新一万円札の肖像になる人物ですね。

大河ドラマをきっかけに予習のつもりで渋沢氏の事を調べてみて、生涯で400以上の企業に関わったり、日本で最初の銀行づくりに携わったことなどを知り、楽しみにしていました。
(学生の頃習ったのかな…しかし近代史というものは…なんかおろそかになりません??)

幼少期が描かれた初回、第2回。その中で栄一の父親が自分の商売について語る場面が。
「(自分の商いは)みんなが喜び、自分も利を得られる。いい商売だ。」
というような意味のことを言っていました。

それを聞いていた栄一は、目を輝かせて前に母から言われた言葉を思い出します。
みんなが嬉しいのが一番いい(ドラマのセリフは方言になってます)」。

生涯「みんなが豊かになること」を一番に考えたと言われる渋沢栄一の原点が描かれたような場面。
このセリフたちのやり取りを聞いていて、私はある歌の歌詞を思い出しました。

槇原敬之さん作詞作曲の『ぼくが一番欲しかったもの』
この歌は、とても素敵なものを拾って喜んでいた人が、自分以上に必要としている人にその素敵なものをあげて、あげることを繰り返すという内容です。

素敵なものをあげたとき“僕を見て嬉しそうに笑う顔が見れて嬉しかった”し、この先もっと素敵なものがみつかるだろうから…。
そんなことを繰り返して、何も見つけられないまま来た道を振り返ってみたら…。

“僕のあげたもので たくさんの人が幸せそうに笑っていて”その様子を見たときの気持ちが自分の探していたものだとわかった。それが“今までで一番素敵なもの”だと綴られています。
(とても良い歌詞なので全部載せてしまいたいくらいですが、それは出来ないので…。ご興味のある方は調べてみてくださいね。素晴らしい歌詞です)

小学校の教科書にも、僕らは『世界に一つだけの花』だということもふまえた上で、こちらの曲も載せればいいのに!とまで思っていた大好きな曲です。
(作者の問題で別の議論が巻き起こってしまいましたが…今はそちらの問題は一旦忘れてください)

たまたま仕事が忙しかった時期にドラマの主題歌だったこの曲と出会い、いい歌詞だな、仕事でもこういう気持ちを持って、少しでも世のため人のために働いていけたらいいなと思ったんです。

もちろん商売は奇麗ごとだけではないかもしれませんが、対価を支払ってくださる側の「お客様」からも「ありがとう」の言葉が自然に出てしまうような。そしてもちろんサービスなり商品を提供する側も「ありがとうございました!」。

お互いがありがとうと言い合える、そういうお仕事をしたいなと常々思っていたのでこの歌詞がしっくり来て。
ある日の朝礼で話題にした覚えもあります(笑)何て熱血な!

槇原氏の「素敵なもの」は音楽だったのかもしれないし、そうではないかもしれませんが、渋沢栄一の志に通じる世界観だなと思いました。

世のため人のためになっている仕事、人を幸せに出来る仕事は無くなることは無いでしょう。
素晴らしい志のもとに創業された企業は大きな成功をおさめています。

例えば「世界のホンダ」の最初の製品であったエンジンは、遠くに買い物に行く奥様を思いながら発案されたとか。「これが出来たらみんな喜ぶだろう」を次々に実現し、今や世界中の人が知っている大企業ですね。

便利になった世の中を見て、創業者である本田宗一郎さんはその光景を“一番素敵なもの”だと思われたでしょうか。
生前「素晴らしい人生を送ることが出来たのはお客様、お取引先、社会のみなさん、従業員のみなさんのおかげだ」と語っていたとのこと。

社長職を辞めた後には日本中の事業所、販売店から工場。数名しか働いていないような田舎の販売店まで全てを回り、全ての従業員と握手をして「ありがとう」と伝えたそうですので、きっと本田氏も「みんな嬉しいのが一番いい」を晩年まで貫けた方なんだと思います。

これから働く方も、今働いている方も、就業されている会社や興味を持っている会社の創業ストーリーを今一度振り返ってみたら、仕事に対してモチベーションが上がるかもしれませんね。

創業時の思いの一端を担って、自分に出来ることで世のため人のためになれたら素敵ですね!