不便な中で工夫する

2024年1月から放送されていたドラマ『不適切にもほどがある』が最終回を迎えました。
宮藤官九郎さんが脚本を手掛けたドラマはこれまでも観させていただいていて(あ、「させていただいて」使っちゃった。観てた人にだけ分かるやつ  笑)20年以上前の作品にも好きなものがたくさんあります。
…歳がバレますね(笑)

『不適切にもほどがある』、久々に毎週楽しく観られたドラマでした。
ざっくり説明すると、阿部さん演じる1986年(昭和時代)を生きてる中学教師・主人公の小川市郎が令和にタイムスリップしてきてしまい、色々あるって話です。
何故か昭和にも令和からタイムスリップしてきた人たちがいたりして…その1人が令和の不登校児キヨシ

色々印象に残った素敵なエピソードがあった中で、子育て中の母として
「あー、なんかいいな」
と思ったのが、令和の不登校児のキヨシが昭和の不登校児サコウ君の話し相手になりたいと画策してた件。
ドラマの本筋のネタばれ最小限で(最終回のあとに配信でまとめてみる派、いますよね)なんとか説明してみます。

キヨシがサコウ君の家を訪ねても、玄関口にサコウ君のお母さんが出て
「会いたくないって言ってるの、ごめんね」
と幾度となく追い返されてしまいました。
どうにか連絡を取りたいけど、SNSとか1人1台のスマホとか無い時代!
キヨシにとってはどんな風に連絡取っていいのか頭を悩ませる事案です。

そんな中、ラジオ番組で読み上げられる「リスナーからのハガキ」に着目するキヨシ。
色々な番組にハガキを書きました。
「Sくん、もしこれ聴いてたら…」
そうしているうちに、ついにキヨシが書いたハガキがサコウ君が聴いてる番組で読まれたんですね。
そこはドラマだからね…て言ったらそれまでですが届いちゃったんです、キヨシの思いが。
次にサコウ君の家を訪ねたとき、サコウ君が玄関口に出てきて、やっと部屋に招き入れてくれました。

この作戦が成功したときの、飛び上がって喜ぶキヨシ君の姿がかわいくて。
便利過ぎる時代の令和の子が、こんなに面倒で手間のかかることをサコウ君のために頑張って、頑張ったことが実を結んで嬉しそうにしている。
この手間が新鮮だったのもあるかもしれませんが…。

不便な中でも、まずは1回話をさせてくれー!ていう、どうしても伝えたい事があって、何とか連絡取ってやるぞという思いの強さがキヨシを動かしている、あの感じが素敵だなと思いました。
人って不便なら不便なりに工夫するもんですよね。

不便な中で頑張ってるといえば、我が家の小学生も。
我が家では留守番をさせる都合上スマホは持たせています。
ご家庭によって方針は色々だと思いますが、ウチの場合SNSや個人のメアドを使用しての子ども同士の連絡の取り合いは少なくとも小学生のうちは禁止の方針でやってます。

現在、連絡網は無くなりました。
(連絡網を知らないママさん…いたらそれは調べてみてね)
母親同士が連絡を取り合えない間柄のお子さんとは、どんなに仲良しでも学校を離れたら連絡取れないんですよね。

自分が子供時代にこんな不便なことあったっけ?
と思い返すと、普通に連絡網見て電話かけて、
「●●小学校2-1の●●ですが今■■ちゃんはいますか?」
て普通に連絡しちゃってたかも(笑)

しかも、今の子よりも早い段階で自転車での行動範囲がめちゃくちゃ広くて、小1から親同伴無しで自転車で遊びたい子の家の前まで行って
「■■ちゃーん、あ・そ・ぼ」
コールしちゃってたかもー!(本日2度目の「年代がバレる…」)

でも、令和の小学生も不便なら不便なりに色々考えてやってるのは昭和に来ちゃったキヨシと一緒。お手紙に書いて約束したりね。
子どもの話を聞いて、相手の子のお母さんに向けたお手紙書くこともあります。

LINE等で気軽に連絡取れない相手のほうが、待ち合わせの約束をきちんと守ることの勉強にはなる気もしたり。
「○○公園に何時」とかね。
自分が時間通りに行かないと相手はそこで何の追加情報も無く待ち続けるしかないんだから。
もし自分が連絡取れない相手をただ5分10分待ち続けるってどんな感じなのか。
そういうのって大切な経験ですよね。

それから、先日のホワイトデーにも印象的なことが。
バレンタインにもらった友チョコのお返しを準備したいという娘。

あげるのはクッキーがいい。
クッキーをプレゼントする意味は
「友達でいましょう」ってことだから。
ラッピングの色はどうしようかな…。
なんて言っている。

えーっ!そんな深い意味込めるとか、いにしえの文のやりとりか?
庭で手折ったお花添えちゃうか?

聞けば花言葉みたいにお菓子言葉ってのがあるらしく、そんなことまでネットで調べちゃって、ホワイトデーへの並々ならぬ気合の入れようが微笑ましかったです。情報だけは簡単に入手できちゃう、そして情報過多過ぎて頭の中で処理追いつかない。
令和ならではの不便さもありつつ、古典的な方法で連絡を取って無事にお渡ししました。

「お菓子言葉調べたら微妙な意味だったマシュマロあげても、ラッピングの色が何色でも、もし心配なら渡す時に美味しいからこれ選んだんだよって事と、バレンタインのチョコ嬉しかったって事ちゃんと言えば大丈夫だと思うよ。」
って言ってあげました。
(そこまで調べる人なかなかいないよ、いたとて渡す時の雰囲気で好意的に思ってるかどうかは伝わるはずで、そこで「こんな意味のお菓子渡すなんて!」て言う子ならご縁が無い人だよ…て心の中では思った母です)

不便な中でどうにかするって時も、便利なものを使うときも。
やっぱり中心にあるのは「人」がどんな思いで動いてるかってことだなって思ったのでした。
普段SNSの更新をすることもありますが、こんな便利な中にあって何か人に伝わる配信出来てんのかね?
て自問自答しちゃった次第です。