昔からの友達は、しばらく会っていなくても、会ってみれば一瞬で「いつもの感じ」に戻れたりして。本当に貴重な存在ですよね。
でも、その関係も、相手を尊重することを忘れてしまっては「いつもの感じ」に戻れなくなってしまうかもしれません。
相手が何かをしてくれるとか、一緒にいることで自分にメリットがあるとか…。
そういうのを抜きにして、相手が好きで、尊重したいと思える存在。
そういう友達って、果たして何人いるでしょうか。
そもそも、いるでしょうか。
今日は、そんな損得感情を抜きにして繰り広げられる人と人との関わりが描かれていて面白い、大人向けの漫画をご紹介します♪
『セクシー田中さん』
作:芦原妃名子
1巻~6巻まで発売中
小学館
10代20代の純愛を描き続けてきた芦原妃名子さんの作品ですが、主人公は40歳の独身OL。
そしてその主人公を取り巻く人物たちは23歳派遣OL、30代半ばの銀行員やサラリーマン、43歳既婚の飲食店店主と様々。
アラサーママにも、アラフォーママにも色々なキャラに思い入れを持って楽しんでもらえる内容です。
まず、全く個性が違う2人の間に友情が芽生えていく過程が楽しい。
●主人公 田中さん
40歳、税理士の資格を持つ経理部のAIと言われている存在。
普段は化粧っ気がなく、とにかく真面目で、周囲には少々変わっている人とまで思われている。
35歳の誕生日を迎えた時に鏡に映る自分の姿が老婆のようで愕然とする。
その後ひょんなことからベリーダンスに出会い、内面が変わっていき、誰にも知られないところで努力を重ねて体型も変わり、ダンススキルも上げていく。
会社を出た後は…妖艶なベリーダンサーとして活動している。
それを会社の人たちは知らない。
●なぜか主人公のファンになって追いかけまわす可愛い派遣OL
W主人公の1人と言ってもいい存在。
普段は合コン三昧。
結婚相手に求める条件は
・不潔すぎない人
・40歳以下
・食にうるさすぎない人
・最低年収300万
・気軽に借金しない人
・夢とか語って暴走しない人
・モテすぎない人…
普通で堅実な人がいい。
幸せになると言うより、サイアク不幸にならないためのリスクヘッジがしたいと考えているような人。
この23歳が田中さんを一方的に好きになって、とにかくまとわりつくように田中さんに近づいていくのですが、その過程は可愛いし、本当に「好き」が溢れているのです。
田中さんのためにこんなにも一生懸命になれるんだと感動的ですらあります。
・田中さんに失礼な発言をした人に本気で怒る
→それに対し「ありがとう、あれは嬉しかった」と言える田中さん
・たくさん声をかける、会いに行く
・田中さんが落ち込んだ時、こまめに連絡したり家を訪ねたり
・田中さんに似合うメイクを人に教えを請いにいく時間までとって研究したり
頑なで、人とかかわらず会社でも孤立していた田中さんもどんどん心を許していきます。
「女友達ってこんな感じかな?って
嬉しくて…」と。
こんな風に人から親切にされる田中さんは、暴言を吐かれても相手の価値観・考え方を否定せず、
「いろんな意見があって当然です」
「あなたの意見も考え方も興味はあります」
と言える素敵な大人なのです。
そんな2人が、
自分を見せないと人からも好かれない・理解されない
相手を尊重しなければ自分も尊重されない
ということを体得していく様子が本当に素敵。
友達の作り方とか知らないけど、今自分の周りにいる友達ってどうやって今のような仲になったか思い出せないけど…友情というものはこうして育まれていくんだなと思えます。
自分を見せたら必ず人から好かれるわけではないし、相手を尊重したら必ず尊重してもらえるわけではないけれども、
自分を見せないと人からも好かれない
相手を尊重しなければ自分も尊重されない
というのは、そうだな、って思います。
この2人以外にも魅力的な登場人物がたくさん登場。
・悪気は無いけれども思ったことを何でも口に出してしまう男性。
それが失礼なことでも、本人に失礼なことを言っている自覚が無い。
→反省して後日きちんと謝れる。基本的な礼儀などは身についている人。
・合コン三昧、広告代理店勤務の通称「チャラリーマン」
→何だかんだいって面倒見がいい。
みーんな、いいひと。
2023年10月に木南晴夏さん主演でドラマ化されるということで、木南さんが好きだからというきっかけで読み始めたのですが、大人が楽しめる内容で一気に最新刊まで読破してしまいました!
途中途中で出てくる金言にも心洗われます。
たくさん泣きました、特に4巻以降で。親とのかかわりや各登場人物の過去など、色々なエピソードで、みんな色々あって悩みながら生きてるんだなーと考えさせられます。
・人は本気になると
誰かのために自分を変える努力をするらしい
・自分なんて…
なんで皆、自分には大した価値がないってすぐに思っちゃうんだろう
もっともっとたくさんありますが、省きます。
読むと元気をもらえること間違いなしです。
ネット上のクチコミ評価も高いこちらの作品。
ママの心も癒してくれるかと思いますよ~♪