筆者は以前勤めていた会社でブログの炎上というものを経験したことがあります。ブログというものが今よりかなり活発だった時代のことなので、随分前の話です。
今日はそんなお話を。
皆さんは普段ネットで買い物をしますか?
ネットで飲食店や美容室、宿泊施設等の予約をしますか?
また、規模にかかわらずSNSで発信をしていますか?
多くの方がいくつかの問いに対して「YES」と答えてくれるかと思います。
顔も声も分からない相手から物を購入したり、予約をしたり。
どこに住んでいるか分からない誰かからコメントしてもらったり、「いいね」で交流したり…。
そういうのが「普通」になっている昨今。
買い物も予約も「スマホでやってる」。
昨日の投稿、いいねの数少ないかも…。
そんな感覚になっていると思いますが、ちょっと待って。
例えば、皆さんがお買い物をしたスマホの画面の向こうには、受注の画面を見て次の段階へと物事を進めている人たちがいます。
商品の梱包をするために、倉庫から該当の注文品をピッキングする表を出力する人→ピッキング作業をする人→梱包をする人→集荷に来てくださる配送業者の方。
予約の状況をみて自分のスケジュールを把握して当日にのぞむ美容師さん・ネイリストさん、スタッフの配置が問題ないか確認したり、食材をそれ相応に備えたり仕込みをする飲食店の方々。
部屋を整えて、空室にして待っていてくださる宿泊施設の皆さん。
お客という立場だからって軽々しく無断キャンセルをしたり、心無い言葉をぶつけていいはずがありませんよね。
逆の立場から考えると、数名のスタッフで画面の向こうのたくさんの人達の対応をしていたりもするものです。
その「たくさんの人達」も1人ひとりに注目してみたら、
仕事などで嫌なことがあって、自分を労わるためのお買い物をした方だったり。
大切な人のためのプレゼントや、サプライズをするためのご予約だったかもしれない。
お買い物やご予約1件1件の向こうに1人1人、人がいてその人達の生活があります。対応する側にとっては何千件何百件のご注文ですが、相手にとっては大切な1回のお買い物。
先ほど言った「炎上」は、数多のお客様に対応しているうちに、そういう意識が知らず知らず薄れてしまったために起きたような気がします。
通販の会社でした。
あるカスタマースタッフが商品の手配でミスをしてしまい、その後の対応も良くない対応をしてしまった事が発端でした。
後日、新商品やセールの情報・スタッフの日常やショップの裏側等を発信していたブログに該当のお客様と思われる方からクレームコメントが入りました。
そしてそのコメントに乗じてショップへの批判のコメントが次々と…。
もちろん、貴重なご意見だと本気で思えるものも多々ありましたが、中には完全に便乗して誹謗中傷していると言ってもいいようなコメントも。
私は、この状況には退勤後、家でパソコンで見ていて気付きました。
ブログの担当メンバーだったので、翌日は早めに出勤。
始発から数本目の電車でかなり早く会社に着きましたが、打ち合わせしたわけでもないのに、なんと同じような時間帯に別の担当メンバーも1人出勤して来ていました。
「これ対応しないとだよね。どうしようか。」
等と話をしていると間もなく社長も出勤。
「あれ見た?見たからこの時間にいるのかな?」
朝から話し合った結果、この件に関しては、ものすごい数のコメントではありますが全てに1件ずつ返信をするということにしました。(数名でやればなんとかなりそうな数かなと思ったんです)
今思えばそれが最良の方法だったのか分からないのですが、その時早く来た2人でそう決めました。念のため顧問の専門家の方にもアドバイスをいただき、注意すべき点などを把握して。
さて返信を進めていくと、途中からは誹謗中傷ムード一色から風向きが変わってきます。
「言い過ぎてる人もいると思う」
「今ここで言う話じゃないことを言うのは違うのでは」
「スタッフさん、誠意感じました!私はこれからも利用します」
「朝から返信しているスタッフさん頑張って」
等のお言葉が目立つようになってきたのです。
そもそもショップ側のミスも、その後の対応もいけなかったのに。
有難いな、これからも選んでもらえるようにしないとなと身も心も引き締まりました。
そして、画面の向こうの「人」のパワー、存在感をものすごく感じた出来事でした。
(私たちが悪かったのですが)私たちからエネルギーをごっそり持っていったのも、これからまた頑張ろうと思える力をくれたのも「人」でした。
ところで、今回こんなを話をしたのは、Instagramでたまたま「はばあみ」さんという方の投稿を見たのがきっかけです。
小さい子にバナナをあげるときのやり方を「新米ママ」の場合と「ママ5年目」の場合で比較というか、演じ分けた?動画が話題になっていた方なのですが、見た方いますか??
その方が別の投稿で、
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「インスタで20人しかいいね無い、20人にしかリーチしてない…」
とかよく聞くけど、
その20人って1人1人が息をしている人なんだよ。
例えば今その20人がこの部屋に入って来たことを想像してみて。
圧倒されるから
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ということを言っていて。
確かに、賃貸物件の我が家に20人一気に訪問されたらものすごい迫力だな!と思うと同時に「人」の力に圧倒された、ブログの件を真っ先に思い出したのでした。
うっかり人を傷つける側になってしまわないように。
大勢の中の1人をないがしろにもしないように。
画面の向こうに人がいるってことを常に肝に銘じていたいし、多分既に私たち大人とは別の感覚が育ってしまっていそうな、子どもにもしっかり伝えていきたいなーと思っています。